<LLP制度について>

*LLPとは?

Limited Liability Partnership」=有限責任事業組合の略

*LLPの特長

 No1、有限責任

 No2、内部自治の柔軟性

 No3、構成員課税(パス・スルー課税)の採用

 No4、共同事業性及び意志決定全員一致の原則

 No5、法人格がない

  

No1、「有限責任」について

 LLPの組合員は。出資の価額までしか組合の債務を弁済する責任を負わない。

No2、「内部自治の柔軟性」について

 ・LLPの内部的な業務分担や、権限について組合契約書や規定を定めることで、自由に決めることが出来る。すなわち、株主総会、取締役、監査  役などの機関を置く必要はない。

 ・議決権、損益分配も貢献度に応じて自由に設定することが出来る。

No3、「構成員課税(パス・スルー課税)の採用」について

  ・LLPの利益はLLPとして課税されず、その構成員に課税される。

  ・LLPの損失も損益分配割合に応じて、組合員の他の所得と損失を通算することが認められている。
   但し、出資額を超える損失は認められない。

No4、「共同事業性及び意志決定全員一致の原則」について

・「共同で営利を目的とする事業を営むための組合契約」(有限責任事業組合契約に関する法律 第1条)であるので、

・LLPの構成員全員がLLPの業務執行を行う権利を有し、業務のすべてを委任することはできない。
 すなわち、組合員は何らかの形で業務執行を行うことが必要。単に投資だけを行う組合員は認められない。
 また、業務執行の意志決定も原則として、全員一致が原則。

No5、「法人格がない」について

・LLP自体は権利義務主体になることはできないので、全組合員に帰属する。



*LLPのメリットデメリット

1、メリット

・LLPは設立が容易

 ・構成員課税、有限責任が認められているので、不確実な事業を行う際に有利

 ・個人事業主が集まるようなLLPの場合、設立資金が少なく、かつ、事業組合を運営するコストが安いので有利。

 ・企業間のアライアランスにも有利


2、デメリット

 ・LLPの利益が一定額を超えると、個人組合員にとっては、株式会社で事業を行うより税務上不利。

 ・株式会社への転換が認められていない。

 ・株式公開、外部からの大規模な資金調達は不可能。


*LLP設立手続き中身

1、組合契約書の作成

 ・絶対的記載事項

@     事業(事業内容が具体的にわかるように記載することが必要)

A     名称(「有限責任事業組合」という文字を使用することが必要)

B     事務所の所在地(行政区画に設置することも可能)

C     組合員の氏名または名称及び住所

D     契約の効力発生日

E     存続期間

F     組合員の出資の目的及びその価額(現物出資も可能)

G     事業年度

・任意的記載事項

財産の帰属、損益の分配、加入、脱退、除名、解散、存続期間の延長、秘密保持に関することなどについての事項

  2、出資額の払い込み

  ・組合員名義の銀行口座が便利(預金通帳の写し又は、取引明細書)

  ・現物出資の場合、「財産引継書」の作成・入手

  3、組合員全員の印鑑証明

  4、登記所への登記

  ・申請費用6万円

  ・登記事項証明を必要部数入手しておくと便利

 

*LLP活用事例案

・農家と加工会社、販売会社で連携

・商店街とショップオーナー、飲食オーナーと連携など
 
 さらに大きな共同事業体としては、こんな活用が考えられます。


・大企業同士が連携して行う共同事業−共同研究開発、共同生産、共同物流、共同設備集約など

・中小企業同士の連携−共同研究開発、共同生産、共同販売など


・ベンチャー企業や中小・中堅企業と大企業の連携−ロボット、バイオテクノロジーの研究開発など


・異業種の企業同士の共同事業−燃料電池、人工衛星の研究開発など

・産学の連携−大学発ベンチャーなど

・専門人材が行う共同事業−ITや企業支援サービス分野:ソフトウェア開発、デザイン、経営コンサルティングなど

・起業家が集まり共同して行う創業


*ポイントとしては、どの場合も、パス・スルー課税や、内部自治が緩やかなこと、
組合損益の分配が自由に出来ることがメリットである。


**参考**
http://www.meti.go.jp/policy/economic_oganization/llp_seido.html